過去日記目次へ

ニューヨーク・自由の女神、ウォール街へ
フィラデルフィア・戦艦ニュージャージーその1へ
アメリカ滞在記目次へ
ばっくとぅとっぷ


フィラデルフィア・巡洋艦オリンピア 6月6日(土)



 本日はニューヨークから出て、古都フィラデルフィアへ。ターゲットは東海岸北部最後の大物、アイオワ級戦艦ニュージャージー」。

 この日も移動手段はアムトラック。フィラデルフィアまではニューヨークから二時間、多少早めに出れば十分余裕はあるよな…… と思って駅に行き、乗るべき電車が入線してきて無事座席に座り、さあ時間もあることだしPSPでアイマスでもすっぺかなあ(なんでアイマスなのかは黙秘)、と思った…… ところまではよかったものの……

 その数分後、突然プシューという音とともに消える車内の電気。あれ? 俺ホーム間違えた? …いや、隣の車両も暗くなってるぞ!? 

 そして流れるアナウンス。かろうじて私に聞き取れたところでは、「あー、なんか駅全体の電源が急に変になったみたいなんやわ。原因とか今から調べるから、しばらく待ってちょ」……

 ……ここで遅延かー!! アムトラックは日本の鉄道とは違い、すぐ遅れる・すごく遅れるという話は当然事前にリサーチ済みではあったのですが、ここまで東海岸では結構利用してきて遅れたのはNYに入る時に20分程度であり、ああなんだ評判ほど悪くないじゃんと思っていた結果がこれだよ!!



 結局、定刻より1時間半程度遅れて発車。この発着板に写っているのは次の便ですが、それもやはり1時間遅れになっています。ただ、実は最初に考えたものより一本早い便を念のために選んでいたため、到着時刻自体はほぼ原案通り。こんなこともあろうかと…… といいたいところですが、ほんの5分前の1本前の列車が全く何事もなく出発しているということを考えると、やっぱりなんか敗北感が……



 フィラデルフィア・30th Street駅。例によって日本の駅とは全く別物。あちらの大きいところがリアルダンジョンとすればこちらはリアル宮殿、といいましょうか。もちろん、日本の迷宮感あふれる大規模駅は大好きなのですが、もし自分が外国人で右も左もわからない日本に来て新宿駅に放り込まれたら、と思うとぞっとしますので、米国は日本を見習え、という気にはとてもなれません。 ……鉄道運行システム自体は大いに見習ってほしいですが。離れてわかる新幹線の偉大さよ。

 さて、フィラデルフィアはさほど大きな街ではなく、地下鉄の路線も二本だけ。古都、大きくはない、地下鉄路線二本…… とくると私の生まれ育ったあの街を彷彿とさせますが、規模的には我らが日本の真の首都の方がまだ大きいくらい。歴史があるとしてもその長さについては言わずもがなです。へへん。
 ……あれ、それって要するに、単に京都の地下鉄がショボいというだけのこと……?(つうかしょぼいですが、実際)

 ともあれ、中心部から西に位置する鉄道駅から、地下鉄で東の端、デラウェア川に面するペンズランディングへ。戦艦ニュージャージーは正確にはこの川の対岸、ニュージャージー州カムデン市にあります(フィラデルフィアはペンシルバニア州。そりゃ保存されるのは艦名ゆかりの州ですよね、基本)。



 ……が、川を渡る前に、こちらの岸にも軍艦が保存されているので、そちらから。





 その艦は防護巡洋艦「オリンピア」。現存唯一の米西戦争参加艦(アジア方面で活動)にして、世界でも数少ない保存された防護巡洋艦(もう一隻はロシア・サンクトペテルブルグに係留されている日本海海戦の生き残り、帝政ロシアのアウローラ)。進水が1892年、竣工が1895年ですから、帝国海軍の「吉野」「秋津洲」あたりとほぼ同じ時期の生まれといってよいでしょう。大きさは「吉野」より1000トンほど大きく、主砲も8インチ。ただし速力は3ノットほど「吉野」が上。まあ、これらの点はどちらかというと「吉野」が最新鋭すぎるが故の差異だと思いますが。



 後代との艦とは一見して違う、衝角つき艦首。 …だと思うのですが違っていたらすいません。




 主砲塔は素朴な円筒形。微妙にドラム缶っぽい。







 主砲以外の各種砲。窓がついていたりするのが5インチ砲だと思います。昔の戦列艦のノリが抜けきらず、とりあえず積めるところに積めるだけ積んでみました、といった風情。無論こういうのも大好きですけど。



 艦橋はとてもシンプル。取ってつけたような木製の小屋っぽいところに、実は舵輪があります。



 後部マスト。後代の艦のように後部艦橋、と呼ぶほどの物はありません。というか前部艦橋からしてアレですけど(笑)



 フィリピン国旗を掲げているあたり、やーらしいなあと思ってしまうのはその後のアメリカの振る舞いを知るが故か、あるいは単に祖国がもっと後にアメリカにけちょんけちょんにされたが故か、さてどっちでしょう(笑)。



 やたらと帆桁が多いように見えますが、これは単に後ろの帆船が被っているだけ。



 あと、バラオ級潜水艦「ベキューナ」も隣にいますが… バラオ級はもういいかなー、とかちょっと思ってしまったり(笑)。どこの大艦にも刺身のツマのごとくついてくるなあ、こいつら。名前的には刺身のツマというか刺身そのものになってしまいそうな連中なんですけど(笑)。



 もう一隻、普通の帆船もありましたが時間不足と入場料別っぽいのとで外観のみ。






 艦内へ入ると、いきなり広がるエレガント空間。無意味に豪奢な柱や、ピアノや鏡台まで置いてある、可燃物排除? なにそれおいしいの? 的なワードルーム。隔壁で細かく仕切られておらず、広々としているのも帆船的というか。にもかかわらず、舷側には砲が所狭しと突き出しているあたりのアンバランスさが前時代の帆船と近代の鋼鉄の城の橋渡しのように見えて面白い。



 一層降りると、さすがに戦闘艦的殺風景さ(相変わらず隔壁はないですが)……



 と思いきや、中心部はやっぱりエレガント空間(笑)。ジュニア・オフィサーの食堂です。



 敷いてある紙には艦の上面図が描いてあるようです。



 さすがにエレガントではないエンジンルーム ……見えてる機械の形状がやっぱり古式ゆかしくてエレガント、なんていう強弁は置いておきましょう。なにやら駆動音がしていたのですが、ひょっとしたら空調設備とか発電設備が下に置いてあるのかも。



 舷側いたるところに砲が置いてある印象があります。ここら辺だけ見ていると、20世紀の艦艇群よりはボストンで見たコンスティテューションの方が近いように思えますね。



 ただ、天井を見るとそこはやっぱり近代艦。



 バースデッキ。水兵の起居の場となるエリア。



 薬局。



 こっちは手術室。



 水兵用トイレは仕切りなし。



 ランドリーではないかと思います。



 病室なのですが、砲が置いてあるのが分かるでしょうか。ほんと、所構わずです。



 病室の浴槽。



 少し大きいので、多分5インチ砲だと思います。



 舷窓から見たニュージャージー。川のほぼ真反対側なんですね。



 確かに砲は至る所に置いてあるのですが、外からの光のせいで砲身を写すことに成功した写真が一枚もない気がします…



 厨房。やっぱりちょっと時代的。



 提督のお部屋ということで、またしてもエレガント空間。オリンピア、米西戦争ではアジア方面の旗艦だったんですね。



 そんなエレガント空間にも容赦なく置いてある砲。しかも、主砲の次にでかい5インチ砲。いい感じのテーブルや椅子が置いてありますが、心休まるんでしょうか、これ。ちなみに、外観から見えた艦尾5インチ砲のそばの謎のガラス張り、あれは照準のためのものなどではなく、純粋な窓だと思います。それでよかった時代もあるんだなあ… 後々には舷窓すら潰してしまおうという動きさえ出てくるのに…




 こちらは艦長の部屋。小さいですが、砲はさすがに置いてないのでむしろ心休まるかもしれません(笑)。




 甲板上に上がってきました。煙突やサーチライトなど。



 甲板上にも軽砲が。



 小学生のころにプラモを作ってる時は、こういうパーツって一体なんなんだろうと思ってましたねえ…



 上から見た5インチ砲。



 艦内はこれでいいのかと思うくらいすっきりしていましたが、上はむしろ細い鉄骨の梁などでごちゃごちゃしています。



 前部主砲。砲塔がまんまる、砲身もさほど長くないので、どこかユーモラスにさえ見えます。



 こうして見ると、積み重なってるようでなかなかステキですね。




 艦橋、というか操舵室といったところでしょうか。舵輪以外なにもない上に木造。



 前部マスト。これでオリンピアは終了。






 バラオ級潜水艦の中は大体似たり寄ったりなので大幅に割愛… しますが、外観は戦後近代化改装を受けているので大幅に違っています。セイルの高さはオリンピアの艦橋とほぼ同じ。結構背が高いです。



 艦内では、他の艦では上がれなかったセイル内部まで上がれたのでそこだけは紹介しておきましょう。



 潜航する時のアラームと、甲板への出口。



 潜望鏡を覗きこんでる人物の写真がほしいなあ、けど自分で覗きこんだら誰が撮るんだよ、つうか自分の写った写真は使えないし… などと逡巡していたら、たまたま覗きこんでくれたミスター・ロバート(仮名)。 …まあ、目線入ってるようなものですし、載せちゃってもいいですよね?



 無線機器は生きているっぽいです。おそらくマサチューセッツと同様、アマチュア無線として活躍中かと。



 後部魚雷発射管室に貼ってあった、謎のポンチ絵。



 これでフィラデルフィア側の艦艇は終了。オリンピア、小さい艦ではありますが、他の同世代艦がほとんど残っていない、しかも過渡期の艦ということで非常に興味深かったです。なお、本当はオリンピアもベキューナも独立海港博物館という博物館の付属施設なのですが、例の鉄道遅延の影響で時間が押していたためそちらへ寄ることはできず。次は川を渡ってニュージャージーへ。

フィラデルフィア・戦艦ニュージャージーその1へ

アクセスカウンター
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送