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ばっくとぅとっぷ


ソウル旅行記 2日目 板門店・DMZ 5月27日(木)




 ホテルの朝食。やっぱり洋食よりは韓国風味ということで。その割にスープがコーンスープなのは気にしない(味噌汁もあったので結局そちらも飲んでる… 韓国風味?)。盛り方を豪快に間違ってる気がするのも気にしない。

 さて、本日の目的地は今回最大の山場(つってもたった二日ですが、観光期間)、板門店・DMZ(非武装地帯)。これはさすがに個人で行けるはずがないので、旅行社のツアーに申し込んでの行動になります。一応当日まで中止連絡とかなかったしだいじょうぶだよなあ… などと思いつつ、集合場所に指定された旅行社の事務所へ。結構人気ツアーなのか、日本人だけでそれなりの人数が集まり、日本語をしゃべれるガイドさんが引率してくれました(もちろん現地にいる人数でいえば上海あたりから来てる中国人の方が多いですが)。漢江沿いの高速道路を1時間ほど走れば目的のエリア、最前線地帯。途中の道路にはいざという時には爆破して道を塞ぎ、北の戦車部隊の進撃を遅らせるためのコンクリートブロック(立体交差がぶつ切りにされてるというか、コンクリート製のでっかいゲートみたいなのが道をまたいで立ってる)がところどころに設置されていたりしますが、これは話に聞いていたとおり。

 最初にバスが止まるのは臨津閣という、DMZの外側の民間人統制区域に限りなく近い場所(つまり、民間人が制約なしに入ってこれる限界点)ですが、ここについては後で戻ってくるのでその時に。さらに向かう先は南進第三トンネル、北朝鮮が南に侵攻しようとしてこっそり掘っていた(そしてバレて晒しものになってる)トンネルのあるところ。入る直前の道路に軍の検問があり、警備兵がバスに乗り込んできてパスポートをチェックするあたり、いよいよ来たんだなあという感慨がありました。



 到着するなり迎えてくれるのがこの看板。なんかファンシーな色使いだなあと思ったのですが、実はこの程度はまだまだ序の口だということをあとになって知るのでした。ともあれ、トンネルに入る前に映像でDMZやトンネルについての予習というかプロモーションというかな映像を見なければならないということで、横に立ってる視聴覚室へ。

 …で、この映像がなんというか、その… 突っ込みどころ満載? いや、日本語解説もちゃんとついていますし、言っている内容の骨子はまともかつ簡潔だったのですが、民族分断の悲劇を語るわりにはBGMがやたらと勇壮だったり、「兵士と野生生物が共存する土地、DMZ」や、「我が国はDMZの観光地としての開発に成功した」、「(統一という奇跡を再び巻き起こすその日まで)DMZは永遠に存在し続ける(なんか妙に誇らしげ)」といった時折混じるフレーズが、どうしてもネタ目線で受け止めてしまう身には笑いのツボに…




 ともあれ北が掘ったトンネルには、この入り口(トンネルの存在を亡命技術者の情報により察知した南が捜索のために逆に掘ったもの)からこのモノレールというか暴走はしないジェットコースターというか的な乗り物で向かいます。途中穴の高さがかなり低くなっていくので貸出のヘルメット必須。なお、入り口より先は撮影禁止なのであしからず。

 トンネルですが、かなり深いところに掘られていて最初の下りはかなりの急傾斜でした。幅は2〜3メートルは確保してありますが高さは高いところで2m程度、低いところだと1.5mくらいで軽く屈まないといけないレベル。掘られた地質はかなり硬い花崗岩の岩盤で、人力と少しずつのダイナマイトで掘るのはかなりの苦労が必要でしょう(なお、ダイナマイトが差し込まれた跡は黄色いペンキで目印がついている)。1時間に1個師団3万人が通過できる、などと説明にはありましたが、重火器は折りたたみ可能な軽砲とか迫撃砲、山砲程度が通れるくらいかなあという気がします。いや、それでも十分脅威には変わりありませんけど。

 トンネルから上がってきてちょっとだけ自由時間なので、周囲(言うまでもなく許可された敷地内な)の散策。



 トンネルの上。赤い三角の警告は「この先地雷があるよ」だそうで。そこら中に、というか道路と田畑(なんでそんなものがあるかは後述)以外の場所はことごとくこの警告で封鎖されている感じでした。ううん、やはり最前線、なんですねえ…



 だがしかし、いくら最前線とはいっても観光地化している以上マスコットとかいるという。 …国連軍のMPらしいですが、この男性キャラ、なんか北の一番偉いあの人に似ているような…



 D・M・Z! D・M・Z!



 ただの銀行のキャッチフレーズかもしれませんが(ATMなので)、こういう場所に書いてあるとなんか深い意味があるかのように錯覚してしまいます。



 併設の土産物屋に売っていた、DMZ米。残念ながら農作物なので検疫とかややこしそうだと思って購入は回避、というかそもそも20キロある米を担いで観光とか無理ですって(笑)。



 おみやげとして売ってるDMZの鉄条網の切れっ端。 …ま、まあ、ベルリンの壁のかけらよりはレアかなあ、とも思いましたが、壁と違って鉄条網は張り替えたりもしますから、量産は効くのかもしれません。仏舎利みたく今まで売れた分全部合わせたら朝鮮半島を3周くらいする、とか、そんなことはないのでしょうか。



 こんなところで次のポイント、都羅山展望台へ。ここからは北の大地を眺めることができたりします。このあたりを守ってるのは第1師団ということで、右にアップにしたのは彼らのロゴなんでしょうか。ナイス。



 遥かなる北の大地。手前に見えている望遠鏡などを使うと色々と話題になることも多い開城工業団地なども見えたのですが、写真を撮れる場所は決まっている(展望台最前列から2m下がってないとダメ)のでこの程度。



 次に向かったのが都羅山駅。南北をつなぐいわゆる京義線の韓国側最北端駅ですが、民間人統制区域にあるため今はほぼ観光用オンリー。



 いつかこの案内がほんとに機能する日は来るのでしょうか。



 入場券を買ったらホームにも入れます。列車が停まっていますが、どうやら南から来るには一つ先の駅で一旦降りてパスポートチェックを通るなど、特別な措置が必要っぽい。一応この駅まで運行しているけど象徴的な意味合いというかなんというか。



 平壌まで205キロ、ソウルまで56キロ。



 なんか昔この駅でブッシュ(子)大統領と金大中大統領が演説だかしたことがあったようです。その時に両大統領がサインした枕木も展示してありましたが、撮影し忘れ。

 ついで再び土産物屋。



 さっきDMZ米を見かけて衝撃を受けましたが、実は他にもDMZ黒豆やDMZゴマ(麦とか別の穀物などという可能性もあり)なんかも売っています。 …ブランド化してるんですか、DMZ農作物…

 実際のところDMZの中にも戦争以前からの住民一族などの耕作者が住んでいる(しかも、耕作面積が大きく韓国の平均的な農家よりも格段に身入りがいいとか。反面エリアからの出入にID必須だったり夜間は外出できなかったりする)らしいので、そういうところで作ってる作物でしょう。これが他の地域から持ってきたものだったら泣きます、むしろ(笑)。



 JSAは共同警備区域の意。随分可愛い南北の兵隊さんです。



 そういやまだあんま怪しい飲み物に挑戦してないなーということでここでチャレンジ。もちろん選択理由は「イラストを見てなんかよくわからなかったから」。どうやら棗とか、そんな感じのよくドライフルーツになってる果物っぽい。 …つまり、無茶苦茶甘くて後に残ります。後味がどうこうより口の中の水分がむしろすごい勢いで……

 店を出たあとはさっきの臨津閣に戻って少し自由時間。ここは民間人が普通に来れる終端かつDMZ観光入り口の拠点であるため、なんだかいろいろな施設があります。



 輸送活動に従事中中国軍に撃破され、その後DMZ内に放置されてしまった機関車。日本の川崎製。形式とかはよくわかりません。



 北のほうにつながる鉄橋。渡っている川は臨津江。この川の名前に由来するの日本語の歌があって放送禁止になってた、などという話は聞いたことがありますが、曲そのものを聴いたことはありません、年代的に。



 DMZの内側ではありますが、監視ポストが点在しています。



 ……が、敷地の内側の方に目を向けると、そこにはファミマがあったりもします。これぞコンビニDMZ…… に限りなく近い場所(笑)。ちなみにソウル、ファミマが結構多いです(他にはセブンイレブンも)。つうかファミマ、北朝鮮(の平時なら韓国人が入れる地域)にも進出してるんですね…

 あ、今見たらセコムしてる。こんなところで。



 コンビニだけならまあ観光の休憩拠点だなあともいますが、なんと遊園地まで併設。最初に着いたときには動いてませんでしたが、昼のこのときには稼働してました。その一方、南側にやや奥まった一角には兵器展示場があったり、慰霊碑や記念碑が立ち並んでいたり(あと一月ほどで朝鮮戦争開戦60周年ということもあるのか、米軍の退役兵と思しき一行とその取材をするテレビカメラなどもいました)。なんでもありですねえ、ここ…



 米軍第187空挺連隊戦闘団の記念碑。粛川・順川の戦い他に参加したことによるものでしょう。



 兵器展示場。かなりわかりづらい場所にあるので見に行かれる方は注意。我々は集合時間15分前にやっとたどり着くことができ、ダッシュで写真撮って帰ってきました。




 LVTM47シャーマン(M4A3)、トラックとジープ。



 ホークと、北朝鮮が使っていた…… 九二式歩兵砲、か、な…?




 航空機はU-6O-1RF-86F



 そして、謎のベンチ。 …まあ、遊園地でもありますから… 他には日本でもよくある子供向けのミニ機関車のレールなども敷いてありました。さすがにこれは我々の滞在時間中には稼働していませんでしたが。



 一旦前線地帯から下がって昼食。プルコギってこういう汁気の多いパターンもあるんですね。はじめて知りました。

 昼食後、いよいよ民間人統制区域のさらに向こう側、南北境界線から2km地帯、すなわち真のDMZを超え、板門店へ。さっき一度入った民間人統制区域と真のDMZの入り口で二重のパスポートチェックを受け、対戦車障害や鉄条網、薄畑に偽装した地雷原などを見ながら、核心地帯へ。残念ながらというか当然というか写真はここまで以上に(ここまでもバスの中からとっちゃダメとかの制限があった)厳格に制限されており、バスも兵隊さんが運転し、さらに一人同乗するものに乗り換えるなどピリピリした雰囲気が漂いだします。




 まずはここが南北の対峙する最前線になった経緯などについてのブリーフィングを受け、この誓約書にサイン。「事変・事件を予期することはできませんので国連軍、アメリカ合衆国及び大韓民国は訪問者の安全を保障することはできませんし、敵の行う行動に対し、責任を負うことはできません」の文字が、重いです。

「きちんと2列で立ち止まらず、振り返ってもいけません」などの注意を受け、軽く緊張しながら軍事停戦委員会本会議場へ。本会議場、といっても正直小さなプレハブっぽい建物ですが、南北境界線の上に位置している重要施設で、内部の撮影は可能。また、なによりこの建物の中なら内部を貫通している境界線のあちら側へ入ることが認められています。

机の上にマイクが並んでいるのがわかると思いますが、これが場内における南北の境界線。そして、窓の外に見えるコンクリートの枕木のようなものが外の境界線です。手前、砂地側が北朝鮮、砂利側が大韓民国。なお室内の写真も南側入口から奥の方に陣取って撮影しています。つまり、これらの写真をとっている瞬間、紛れもなく私は北朝鮮へと足を踏み入れていたことに。時間にして15分距離にして5m、パスポートにハンコなども押されないとはいえ、まさか北の大地を踏む日がくるとはなあ…



 警備のMP。写真を撮られても本当に微動だにしないので一瞬マネキンかと思いましたが、生身の軍人です。拳に力入れてたりするのは観光客がいる間だけだろうとはいえ、その観光客が結構ひっきりなしに来るわけで、大変だよなあ…

 ちなみにガイドさんによると「昨日までは2人でしたが、今日から4人に増員されたそうです」とのこと。



 このあとはもっと平穏ならさらに北に接近できるコースもあるようですが、今日は、というかまさに今日の昼からそのようなコースを取ることは危険であると判断されたらしく、韓国側建物の中からガラス越しに北の建物、板門閣の写真を撮るだけで撤収せざるを得ないということに。とはいえ情勢的にここまで来れたこと自体をありがたがっておくべきでしょう。命あっての物種ですし。ちなみにやっぱりガイドさんによると「普段は儀礼服を着ている兵隊さんも迷彩服を着ています」とのことで、即何かありそうという事態ではないもののやはり普段より警戒度は上がっているようでした。

 ちなみにこの写真、板門閣の真ん中から向かって左に一つ目のガラス戸の前に北朝鮮兵士が二人立っているのが確認できます。右のほうの窓も一箇所、カーテンを上げてこちらを見ているような…?

 再び中心部からDMZ南端まで戻り、土産物屋で降りてほっと一息。なんだかんだで緊張して肩に力入っていました。とりあえず気を緩めて土産物物色。



「非」武装地帯Tシャツ。なんというかあまりにも日本人を狙ったかのようなセンスでステキです。というかこれデザインしたのむしろ日本人なのでは(笑)。 あまりのステキセンスついうっかり買っちゃいました(買ったんかい)。



 DMZチョコ。平和と統一の希望を抱くらしいです。しかもはがき入り。



 ある種お約束的な北朝鮮の紙幣セット。ごく最近のデノミより前、というか2代くらい前のものになるんでしょうか。

 …とまあ、このような物どもを仕入れてソウルへ帰還。帰路も車内からの写真撮影が禁止されていたので撮っていませんが、漢江沿いの高速道路の脇にはほぼ1キロ間隔くらいで監視ポストやサーチライトが設置されており、頻繁に兵士が巡回していることに気づきました。おそらく潜入してくる工作員対策だと思うのですが、なるほどここまでしなくちゃ、あるいはしても完全には防ぎきれないもんなんだなあ… たしかに厄介だ…

 以上で板門店ツアーは終了。入口付近のここまでしてええの? と思うような観光地としての開発のされ方と、そこからさらに奥に入った最前線部分での張り詰めた緊張感とのギャップが壮絶で、総合的な感想となるとなかなか一言では表せないツアーではありましたが、ここでしかできない得難い経験ができたのは間違いありません。 …いや、ここ以外でほいほいできるような国際情勢になってたら困りますが、分断国家の最前線見学とか… 



 帰りはロッテの百貨店で土産物買って蔘鷄湯食う。あっさりしてるけどこれもうまい。 …ただ、中に入ってる鶏をバラして骨を外すことに必死になって食事中しゃべってるが余裕なくなる度はカニに匹敵します(笑)。

 では、今日のおまけ… というかDMZ関係ない小ネタ集、行ってみましょう。



 ロッテホテルの地下にあるバー。 ……誰か、この日本語の説明を手がかりにこの店がどういう雰囲気の店か説明してください…… しかもロゴは威風堂々ユニオンジャックだし… つうか英文にはエジプトのエの字もないという。



 韓国の誇る毒飲料といえば麦コーラことメッコール!! ……だと思って迷わず確保してしまったのですが、とても困ったことに、その… …どうしよう、これ、普通にうまいぞ? なんか味が変更されたという話も聞いたような気がするのですが、それは日本向けだけだという説もあり、だとすると以前のままの韓国版でも十分いけるということに。これはかなり意外でした。それとも、実は私が飲んだこれは今まで様々な伝説に謳われていたメッコールそのものではなく、真のメッコールは他にある…?



 DMZ関係ないものといいながらDMZの売店で買ったものなのでアレですが、松茸ゼリー。一番の人気商品だとかなんとか。ちなみに松茸チョコも売ってましたが、威力の高さではゼリーの方が上かなあということでこっちを選択。さて、愉快な友人共のどいつに投下してくれてやろうか…



 ロッテのデパートにて。なお、たけのこは見当たらず。すなわち、当地ではきのこがたけのこを駆逐しているわけで、我々きのこ派の大勝り……

 いや、この場合大敗北ですよね、むしろ。変なインスパイアで知らないうちに勢力増やされてもなあ……



 こんなのも。いや、怖いから。その目つき怖いから!



 +1。味は… 悪くないといえばないけど、微妙……

 最後はなんというか絵に描いたような三連発となってしまいましたが、むしろこうでなくては、と思うのは私だけでしょうか。だって変にお行儀いいばかりになられても、その、困りますよねえ(笑)。

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