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※なお、以下の内容は全てこじつけであり、実際にゲームのキャラ名が軍事ネタに由来しているというわけではありません。詳細説明については駄文置き場トップを参照してください。

 第五十二回(2006.11.12)
終末少女幻想アリスマチックにみる帝國海軍



ネタ要目


タイトル:終末少女幻想アリスマチック
発売日:06.10.27
メーカー:キャラメルBOX
総プレイ時間:約24時間
傾向:AVG
ディスクレスプレイ:可
お気に入り:疋田伊織、月瀬小夜音
評価:B+

 世界中が謎の次元災害に見舞われ、人類が滅亡への道を緩やかに歩んでいる近未来。東京湾の埋立地に作られた秘密な研究施設に集められた古流兵法の継承者たちが、人類の未来を守るため…何故か、現実ではない空間で切った張ったする、キャラメルBOXの秋の新作。

 上の大まか過ぎる説明だけで「世界滅亡」「秘密の研究施設(表向き学校)」「古流兵法」「デュエル」と、一つあれば十分与太話が作れる要素が何個か出てきてますが、これにさらに「魔術結社」「秘密結社」「うみのいきもの」「旧神」「前世」「思わせぶりなコードネーム」等、「話をなんだか凄いように見せかけるハッタリをピリリと効かせる凄いスパイス」をまるで本場印度のカレーのようにこれでもかとぶち込んだような痛快ストーリー。…か、なあ? 時折挟み込まれる用語説明がまた、「わかってる」と言えましょう。こういう、用語説明みたいな小ネタがないとハッタリがしまらないんですよね。

 なんか、ハッタリハッタリ連呼していますが、別に非難しているわけではなく近未来かつチャンチャンバラバラなアクション話として肯定的に見ています。世界を賭けて戦ったりする以上、これくらい過剰装飾気味な舞台装置もまた、それはそれでありかと。その意味では、作中矢鱈薔薇が出てきたり次回予告の決め台詞がやっぱり薔薇だったりするのもまた、悪くない。

 もっとも、たまにそれは意味があるのかなあ、といった設定とかも勢い余って散見されはしましたが…いきなり死病に冒されてるのが発覚するお姫様とか…あれはどうかなあ、というかその病気でその動きは無理だよなあ…

 システムとか。おとボクとかの伝統を引き継ぎ、キャラの表情は結構変わって楽しいです。小夜音とか黒衣が真っ赤になってピー、なところとか、貴子さんだ!貴子さんがいる!とか。

 お気に入りは伊織先輩と小夜音。天然クール系スケバンとゴスロリドレスお姫様。ええ、方向性は違えど私の中で上位に来ることは最早必然的な感じのするポジションです。伊織先輩のボケっぷりと、小夜音の甘えっぷりはなかなか。後者は外見に似合わず清々しい面も持ってますし。
 …しかし、よりによってややこしい背景を持ってるのばっかり選んだことだなあ…

 総合評価は中の上〜上の下に入るか入らないかくらい。上で連呼しているようにハッタリを程よく過剰に効かせた感じのストーリーは、テンポも悪くなくエンターテイメントとしては上等でしょう。欠点は逆に、そのハッタリスパイスが効きすぎていると取られてもおかしくないかなあ、というか多くの人はゴテゴテしすぎと見るんじゃないかなあ最近過剰装飾マニア化してる私じゃあるまいし、という域に達していること。こればっかりは個人の嗜好と許容量とバイオリズムに左右される世界ですが、あまりに「お約束」な設定による味付けが濃すぎて、ちょっとダメに思える方もいるかもしれません。というか、私もたまたま濃い味付けを笑って許せる時期(いやまあ最近ずっとそうな気もしますが)にプレイしたからよかったものの、精神状態があまりよろしくない時期にプレイしていたら「はいはいクトゥルークトゥルー、シュレディンガーシュレディンガー」で終わらせていたかもしれませんし。そこらへんの、人を選ぶところがあるので「上の下」に入れるのは躊躇われるかな、と。

 あと、全員クリア後にその時点で最も好感度の高いキャラとのエピローグ(のさらに後というか)に行ける訳ですが、その…あんまり、あってもなくても変わらないんじゃないか的な…せめて、CGの一枚ずつ位は付けてもよかったんじゃないかなあという気もします。もっとも、これでCGがついてたら「最後のCG回収が面倒な気がします」というコメントを書いてる自分が幻視できてしまうので、そこのところはただの無い物強請りに帰着する気もしますが。





 アリスマチックと帝國海軍と兵法の道

・戦艦伊勢 上泉伊勢守信綱

 上泉伊勢守信綱。どっかの剣豪と同じ名前で同じ名乗りをするパンクなにーちゃん。…というか、その人だったりむしろあんまり人ではなかったりするあたりが話の核心の一つ。「伊勢」「いせこちゃん」とかクラスの人たちに呼ばれているので、ここで紹介しましょう。…しかし、私の中の上泉信綱像を引っくり返すキャラだなあ、この人…丸目蔵人もそうだけど…

 戦艦伊勢。日本の誇る超弩級戦艦の一隻であり、かつ最終的には日本の誇る変態兵器、航空戦艦へと進化…かなあを遂げた艦。元々「扶桑」型の三番艦として建造される予定だったところ、予算不足で建造が遅延しているうちに「扶桑」の欠点が目立ってきたため、主砲塔のレイアウト変更や副砲換装をはじめとした改正を加えて結局別クラスと相成ったという経緯があります。

 完成後は(もっと凄いのがわらわらできるはずの八八艦隊計画がぽしゃったので)「長門」型に続く主力艦として日本の顔の何割かを担っていた「伊勢」型ですが、太平洋戦争では出番は与えられず。ついには、ミッドウェー海戦の結果を受けて、実際に建造されたのは「伊勢」と姉妹艦の「日向」のみというレア艦種、航空戦艦へ改造されてしまいます。「対応が泥縄すぎてなんだかなあ」「そもそも、間に合ったとしてもそれが実際に役に立つと本当に思ってたのか」等々、とかく際物扱いされる航空戦艦への改装ですが…
 少なくとも後世の物好きな人の視点から見たときに、その際物っぷり故に愛着を感じてしまうのもまた事実。例え厨といわれようと、やはり「外見的に好きな艦」には間違いなくランクインしてしまうのです。
 …ええ、私は「魔法戦士」とか「可変型モビルスーツ」とかの、いわゆる「一粒で二度おいしい…はず」ジャンルにもやっぱり実用性度外視の愛着を感じてしまう人間ですが、何か? 中途半端なんて言葉は知らない。なんとかも鋏も使いよう、帯に短く襷に長いなら腹巻にでもすればいいんですから…あれ? 誉めてない?

 それはさておき。そんな異色艦に改造されてしまった「伊勢」ですが、むしろ改造後のほうが出番には恵まれています(というか、他の人達が次々退場していくので正面に出ざるを得ないというか…)。捷一号作戦では小沢艦隊の一隻として決死の囮作戦に参加するも、改装時に増備した対空火力と適切な回避行動に物を言わせて生還。さらに「日向」らとともに南方から重要物資を戦艦である自身に満載して(この行動自体はやたら非効率で危険が一杯な気もしますが、まあ末期ですし)本土に持って帰ってくる「北」号作戦を敢行、成功。変な姿に改造されたり色々しましたが、最後の最後で見せ場を与えられたといえるでしょう。

 ですが、そんな最後の見せ場が去ったあとには「燃料切れ」という悲しい現実が。そして他の残存大型艦とともに呉港外で浮き砲台と化していたところを、45年7月24日の呉大空襲で艦載機の大群に襲撃され、大破、着底。終戦後に撮影された写真や動画で、右舷に傾いた甲板を波が洗い、主砲があらぬ角度を向いている「伊勢」の正面からの姿(ここの一番下)がありますが、この写真と横倒しになった空母「天城」の写真ほど、「ああ、この国は負けたんだなあ」と思わせる写真もないような気がします。

・戦艦相模 相模八千代

 相模八千代。クラスメートの女子二人組の、眼鏡をかけてないほう、というか…アホっぽいほう?

 戦艦相模は元露西亜戦艦「ペレスウェート」。独逸装甲巡洋艦への対処などから攻撃力、防御力よりも速度性能を重視した、後の高速戦艦のような艦(といっても、「三笠」とかの日本の主力艦や他の同世代艦と比べたら1ktしか速くないので、単に攻防性能が落ちてるだけともいえますが)。なお、設計は仏蘭西式。

 日露戦争では太平洋艦隊に配備されて旅順にあり、港内に引き籠っているうちに日本第三軍が203高地を奪取。陸上からの砲撃により着底させられ、旅順陥落時に他の艦とともに接収されました。翌年、浮揚・修理されて一等戦艦「相模」として日本海軍籍に。その後は名前の由来でもある(捕獲された露西亜戦艦は、当時の鎮守府の所在地の国名をつけられました:既に「安芸」の建造が決まっていたのでその隣の国が使われた「周防」を除き)横須賀鎮守府に所属。
 その後、第一次世界大戦が勃発し、日本とロシアは今度は連合国の盟邦としてともに戦うことになります。そこで、ちょっと前に極東の某国に海軍戦力の殆どを潰されて深刻な戦力不足に喘ぐ露西亜(まったく、どこの国の仕業なんでしょうね?)への支援として、日露戦争捕獲艦の中から「相模」と戦艦「丹後」(元「ポルタワ」)、防護巡洋艦「宗谷」(元「ワリヤーグ」)が露西亜に返還されることとなり、1916年に浦塩で引渡しが行なわれ、ここに「相模」は晴れて旧名に戻り露西亜に復帰しました。

 …が、その翌年、主戦場である欧州方面への回航はしたものの、白海で独潜の敷設した機雷を踏んで沈没。折角の祖国への帰還を成し遂げた矢先の、あっけない出来事でした。…ある意味、バッドエンドの一典型例、的なパターンではありますが…スタッフロールまで、あるいはスタッフロール終了後も暫くの間は気を抜いてはいけませんね(何の話だ)。

・海防艦高見 高見光璃

 高見光璃。主人公が幼少の頃出会っていたり、突然デミウルゴスシステムの中から現れたりする物語の鍵となる幼女。実は幼女というだけではない気もしますが、自分で「ひかり」だと名乗ってるのは幼女のほうだけなんでこのような言い方をしておきましょう。

 海防艦高見は太平洋戦争中の甲型海防艦の予定艦名。建造予定中に計画中止になったため、実際に海に浮かんではいません。もっとも、海上自衛隊では「たかみ」が掃海艇の名前として二代に渡り使用されています。


 こじつけではないほうの元ネタ、というか話の中にも織り込まれている背景は主に戦国時代の剣豪、剣術の流派ですね。…こちらも、どうせ信長の野望と歴史群像で仕入れた程度の知識しかないですが書いておくと、まず丸目蔵人はそのまま、丸目蔵人佐長恵。肥後・相良家に仕えたタイ捨流の創始者。…こっそりと私の中のイメージ映像を貼ってみると、こんな感じ。なお、この画像の出典がシリーズ何作目とか、そういうことは詮索しないでください。

 もう一人、純然たる実在人物は上述の通り上泉伊勢守信綱(同じく参考画像)。日本の兵法三大源流の一つとされる、新陰流の創始者(作中で名乗る愛洲陰流は、自身が免許皆伝を受けた流派。陰流とも)。諸国を流浪し、「剣豪将軍」足利義輝に兵法を伝授したとか、色々伝説があります。

 で、その信綱の門弟に丸目蔵人の他柳生石舟斎とか宝蔵院胤栄とか疋田文五郎とかがおり(作中にもちょこっとでてきますが)、柳生石舟斎→十兵衛→小夜音(柳生新陰流)、宝蔵院胤栄→觀興寺六花(宝蔵院流槍術)と、関連性のあるキャラが。あ、「觀興寺」は宝蔵院流高田派槍術の高田又兵衛(胤栄の弟子)の門弟の名前…だとぐぐったらでました(おい)。珍しすぎる苗字なのでたぶん由来は確定でしょうが、どんなことした人かは不知。

 伊織先輩も「疋田」ですけど、どちらかというと二天一流つながりで「伊織」のほうが重要なのかなあと。二天一流はいわずと知れた宮本武蔵の流派。その武蔵の養子の名前が伊織ですから。

 中条姉妹もそのまんま、小太刀も扱う富田流≒中条流の使い手。しかし、中条流のほうが古い(中条流の流れを汲んだのが富田流)のに、あえて富田流を名乗った理由は(仮に開祖と直接の縁があるとしたならば)不明。

 あと、先生が示現流ですが、これは分派の小示現流(幕末の桐野利秋の流派)宗家が伊集院ですね。もっとも、あそこらへんでは伊集院もやたらいるので実際のところはよくわかりませんが。とりあえずチェストー!(なんだその誤魔化し方)

 剣術ではなくて忍術では、藤林長門守とかいるので於雪さんは伊賀の方の人かなあとか。あと、やられ役のゴーストな方々が馬庭念流とか天然理心流とか北辰一刀流とか使ってますが、ここら辺は幕末シリーズ。馬庭念流は上州(群馬県)。千葉周作とバトりかけたとかで司馬遼太郎が小説書いてますか。その千葉周作の北辰一刀流とか天然理心流は幕末の小説か漫画読みゃ絶対出てきます。前者はいわゆる江戸三大道場の一つで、かつ坂本竜馬とかが修めていたメジャー流派。後者は新撰組の近藤勇、沖田総司とかの流派ですね。当時からメジャー…とは口が裂けてもいえないぞ、な小流派ですが(苦笑)。