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ばっくとぅとっぷ


ソウル旅行記 3日目 韓国戦争記念館その3 5月28日(金)




 戦争記念館、館内へ。



 既に書いたとおり、今年は朝鮮戦争勃発60周年ということで11月くらいまで入館無料っぽいです。興味のある方は早いうちに、ぜひ。まあ、平常時でも300円しない程度らしいですが、それでもタダの方が嬉しいのは間違いないでしょう(笑)。また、日本語パンフレットの他に日本語音声解説も貸し出してくれます。展示品のほぼ全体を網羅しているので、これさえ借りとけばハングルさっぱりでも全然平気。

 中ではおおむね時代別に韓国が関わった戦争に関する展示が並んでいますが、当然ながらそのうちの多くの部分は朝鮮戦争(こちらでいう韓国戦争)に関するもの。あくまでも記念館ということで入って正面には朝鮮戦争やヴェトナム戦争で戦死した韓国軍の英雄を祀るホールなどもあり、先日の天安撃沈事件を受けての李大統領の演説はここで行われたようです。



 スタートは石器時代や青銅器時代から。このあたりのものは日本とほとんど変わらないというか、こちらのものが日本に伝わっていくんですね。




 

 時代は一気に飛んでイルボンの秀吉水軍を蹴散らした亀甲船(の40%復元模型)! 中世朝鮮軍最大の快挙ゆえか、無闇に力はいった再現映像つき(艦種についてるテレビ)!! …「復元」の根拠? しらんがなそんなん。どちらにせよ純然たる沿岸防衛用ですね。乾舷低い低い。



 亀甲船以外の兵船など。これも縮小模型。

 ちなみに亀甲船のまわりに写真らしきものが展示されているのが見えますが、見た感じどうも軍艦や海軍、それだけではなく海に関するものなら風景写真でも海鳥の写真でも集めてみた展示会だかコンクールだかのようです。こういう関係があるのかないのか分からない域に達した展示というのもこの手の博物館には結構よくあるものですが、その中にこの一枚。



 だ、大統領ー!? …このポーズをとってる姿の写真は結構見かける(参考)のですが、しかしよりによってこんなとこに飾るんですか。いや、日本人から見たら少々アレなポーズに映っても、こちらの視点からすればなんてことないのでしょうけど…



 展示に戻って、李氏朝鮮時代の軍旗。もちろん朱雀と玄武もいます。白虎の表情がステキ。



 やっぱり虎好きですねこの国。



 

 文禄・慶長の役時の銃砲(中華式)。大砲はまあさておき、銃はこれでは洋式火縄銃大量装備の日本勢に押しまくられるのも仕方ないかなあ。



 ロケット弾と大砲で飛ばす矢。壁にかかってるのでけえ!



 連発銃の夢をとりあえず銃身増やして叶えようとしてみるのは万国共通のお約束。 …でも右のはなんか、こどものおもちゃの笛というか鳴子というかにしか見えない…



 大砲も東西両式ありますが、こういう台に乗ってるのは日本からすれば珍しい。




 鎧、といっても綿が詰まってる東洋式。そして撒菱。

 時代はさらに飛んで19世紀、東アジア諸国がヨーロッパの圧力にさらされる開国時代。



 朝鮮に来航した列強諸国の当時の軍装、小銃や、それよりは少し前の甲冑など。



 英仏西なども近代的な軍服とプレートアーマーがまとめて展示されていたのでうちの国だけ特別変ということはありませんが、明治の軍服小銃と甲冑が並べて展示してあるのはなかなかに違和感ありますね。



 江華島事件で有名… というか、それ以外では特に来歴や業績などを聞かない軍艦「雲揚」。模型とか見るのははじめてかも。



 上から不明雷管式小銃、村田銃三十年式騎銃。拳銃は左から二十六年式南部式、ベビーナンブ。ベビーナンブはかなりレアなはず。





 列強諸国や中華製の大砲が色々展示されてる中、この大砲は日本製。それも弥助砲です。こんなとこにあるとは!



 ガットリングー。



 上から三八式、不明、九九式



 僅かな期間存在した大韓帝国軍の軍装と階級章。この後はご存知のとおり、大韓帝国は日本に併合され、1945年に至ります。そして、館内展示のメイン、朝鮮戦争へ。



 いきなり出てきた竹槍。北のゲリラが使っていたもののようです。



 初期韓国軍の軍装。既に女性兵士がいた(もしくは動員せざるをえなかった)んですね。



 …そして、彼らは来た。



 韓国軍の主力火器、M1 カービンM1 ガーランドVS北の対戦車ロケット、シモノフ小銃シュパーギン機関短銃




 いわゆるバズーカ、スーパーバズーカ、M20 75o無反動砲

 朝鮮戦争全体の経過については、各地に設置されたビデオ(なんだかBGMがやたらとかっこいい)で逐一解説してくれます。これも日本語完全対応。しかし、逐一追いかけていくとほんとに一進一退ですね。泥沼… という形容詞は後世のイラクやらヴェトナムやらアフガンやらを見るとそちらに譲るべきかもしれませんが、どちらにせよ酷い戦争であることに変わりはありません。




 個々の戦闘等については新聞資料が大変充実して展示してあったのですが、このころはまだハングルが日本の平仮名程度にしか使われていないため理解しやすいですね。そして今まさに戦時中と言うこともあってか、新聞のノリが完璧に戦前日本のままでなんかこう、ステキ。「戦車肉攻三勇士」とか、もうまさに日本軍そのままだ…



 そんな戦時一色の中に痔疾とか肛門科の文字が見える記事(あるいは広告)があるあたりも、また味ですよね。



 在日学徒義勇軍と使用した竹槍、ナイフ、拳銃。実に末期戦、ですね…




 ソ連迫撃砲シリーズ。



 そして連合軍の乾坤一擲、仁川上陸作戦。マ元帥も得意げです。ソウルも解放し、さあいざ征かん中朝国境!!



 そ う は さ せ ん !!

 …いいけど、なんでそんな歌いながら踊ってるんですか、中国義勇軍の皆さん…



 中共軍侵入の第一報を伝える新聞。二師団以上、という数字が実際を知ってる身からすると、ですね。以上とはいってもその程度が……




 中華持ち込み兵器集。言うまでもなくソ連製。



 中国軍の南下に伴い孤立した興南からの海上撤収を伝える新聞。真ん中の新聞には「転進」の文字が見えます。実に旧日本的。

 この後は知っての通り38度線を挟んでのにらみ合いが続いて休戦へと至る。ここまでに2階のほぼ半分、概ね1階の半分を占める先史時代〜大韓帝国期と同じだけの面積が使われています。さらに3階の4分の1程度に戦時下の国民生活や国連軍参加国に関する展示が。




 参加諸国の軍装のうち珍しいというかネタ的に面白いかなーと思ったところ、トルコ、ベルギー&ルクセンブルグ(1個小隊らしいですけど派遣したの)、エチオピア、コロンビア。そういえばイタリアも医療支援だけとはいえ派遣してるんですよね。先の大戦で一緒に戦った日独はまだ再軍備すらされずというか、この戦争をきっかけに再軍備を始めたというのに。さすがだ…

 さて、とりあえずこれで正面から向かって左側のエリアは1階から3階までクリア(言い忘れましたが、2階の玄関から入って階下に降り、そこからずっと3階まで上がってきています)。到着した10時くらいから3時間半以上食い入るように展示物を眺めまくっていたので、ここで休憩室に入って水分補給。できればここで食事などもしたかったのですが、館内の休憩室にはコンビニなんかで売ってるような保温器に入ったホットドッグというかソーセージくらいしか置いてませんでした。まともな食事施設とかないのかよ… と思ってたら、帰りの際に本館内ではなくて敷地内の別の場所に独立して食堂というかカフェというかが存在するのを発見。いや、展示に夢中になってたらこんなとこまで出てこないって… そこまで必死になるのは一握りの軍オタだけかもしれないけれども…

 あと、写真は撮ってませんがこの休憩室の中に第二次大戦関連の軍艦や戦車などの模型展示が。飾られてたのはおなじみの大和やビスマルク、ドイツ戦車やチハたんなどといったところ。普通の国… というか大戦を戦った国のこういう博物館だとメインイベントとして扱われること必定なWW2ですが、韓国の場合そもそも国がない時期だったので扱いはこの程度。

 他にも3階には戦場体験室や非常準備体験室といった箸休め的な部屋が。パンフレットには陸・海・空軍室(+2階の海兵隊)もあってレーザー射撃体験やF-15K、忠武艦関連の展示があるようなのですが、このときは閉鎖中。なお、戦場体験室についてはシミュレーターとかあるのかなーと思って入ってみたのですが、想像以上の部屋でした。 …もちろん、こういうふうになにがどう凄かったかを明言せずに「想像以上」などといっている以上、どっちの方向に凄かったかについてはお察しいただけると思います。まあ、行ってみてのお楽しみ… お楽しみ?



 もう一つあった箸休め、非常準備体験室。こういう物が置いてあるとなるとああ、火事とか地震とかそういう「非常準備」の話がついでにくっついてるのかなー取ってつけたように、と一瞬思ってしまいますが、それは平和ボケした日本人の悪い癖。ここは準戦時下の分断国家です。



 具体的には、この部屋においてあったパンフレットが語ってくれると思います。韓国行政安全部謹製。




 ABC兵器に対する初期対処について日本語で書かれた簡易マニュアルとか、日本の政府や自治体も発行してないのでは… 中文版もありましたが、なんか無茶苦茶親切ですね、韓国政府。

 館内は1回で終わるかと思いましたが、やはりそうはいきませんでしたね。次回は海外派兵室を見た後2階の兵器展示、最後に1階でやっていた特別展示へと向かいます。

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